子宮腺筋症核出術後の妊娠・出産
子宮腺筋症の症状が進行し、せっかく妊娠しても妊娠維持が困難であるとわかった時、どの様な治療を進めれば妊娠の可能性が残されるのか、治療を受けたら本当に妊娠・出産は可能なのか、色々情報を調べても、経験者の情報がほとんど見つからず、とても悩み、苦しみました。
今回は、私の経験が同じ状況に置かれている人の情報源になればと思い、手術、妊娠、出産の記録させて頂きます。
子宮腺筋症核出術とは
子宮腺筋症核出術とは、病巣のみを切除し、子宮を残す治療法です。子宮腺筋症核出術では子宮腺筋症の病巣と子宮内膜のさかえは明確ではないため、病変のみの摘出は困難であり、正常筋層を摘出する場合もあるそうです。
子宮腺筋症核出術後の妊娠
子宮腺筋症手術は比較的最近始められた術式であり、日本では、1990年に部分的子宮腺筋症核出術が初めて報告されているそうです。その為、症例数が少ないことからも、妊娠にいたった場合の危険性についてのデータはまだ十分とは言えません。
子宮腺筋症核出術を受けることで、妊娠・出産の可能性は残されますが、子宮腺筋症核出術では、子宮筋層が一部切除されるため、切除する面積が大きくなると、妊娠時に子宮が大きくなった場合、病巣を切除した部分が薄くなり、子宮破裂を起こすリスクが高くなります。
実際に論文(中山ほか; 日エンドメトリオ―シス会誌2010)には下記の2例があげられています。
・ 術後4か月で妊娠 → 28週4日で切迫子宮破裂
・ 術後7か月で妊娠 → 妊娠33週から管理入院 → 36週1日で予定帝王切開(子宮内腔より指が透見できるほど非薄化していたそうです。
その他にも、術後1ヶ月で発来した月経を最終月経として妊娠した、28週2日に下腹部痛が突発、緊急帝王切開術で開腹したところ、子宮後壁の菲薄化した筋層が破裂しており,同部位より動脈性出血が認めたれたケースも報告されています。
これらの実例を見ると恐ろしくなりますよね。
では、私のケースをお話させて頂きます。
私は、妊娠30週から管理入院し、32週から張り止めを錠剤から点滴に変えられ、車いす生活になりました。MRIの検査で術部が約2mmまで薄くなっていることが分かったため、36週を待たずに帝王切開によって出産しました。
手術中、先生達は子宮の厚みを実際に手で触って確認及び写真撮影を入念にされていましたので、どこかの学会で私の子宮内が発表されているかも...ですね。
実際には500円ぐらいの大きさで、5か所薄くなっていたとのことです。予定帝王切開日の36週を待っていたら、どうなっていたかぞっとします。
子宮腺筋症核出術後の避妊期間について
帝王切開後、早期に妊娠した場合に子宮リスクの頻度が高くなることは既に知られており、術後24カ月未満で分娩した場合は、24箇月以上の分娩と比較して2~3割子宮破裂の頻度が高いと報告されているそうです。
一方で、子宮腺筋症核出術後の妊娠期間については明らかな情報はないそうです。しかし、実際に上記の論文の例はいずれも術後1年以内に妊娠されていますので、帝王切開後の早期妊娠のケースが子宮腺筋症核出術後にも当てはめられるのではないでしょうか。
私は、手術前の説明で医師より、「最低でも術後6か月間は避妊してください」「望ましくは1年です」と言われていました。また、「妊娠した場合、子宮破裂のリスクを背負うことになりますので、出産前は管理入院が必要になります」「自然分娩は望めません」とも伝えられました。
帝王切開で出産後は、「次の妊娠までは1年開けてくださいね」と言われています。
まとめ
子宮腺筋症核手術後に妊娠・出産を望まれる場合、医師としっかり相談し、十分な避妊期間を確保することで、子宮破裂のリスクを低減できると思われます。